第193回:知っておきたい薬のはなしG糖尿病の治療薬 体調不良日は要注意
水島協同病院 糖尿病療養指導士・薬剤師 白髪恵美気になる糖尿病の治療薬…。とても大切なお話です。
糖尿病の薬
糖尿病治療薬には、大きく分けて飲み薬が7種類、注射薬が2種類あります。
それぞれにどの部位に効くか、どんな作用や副作用があるか違います。最近では、1週間に1回だけ飲む内服薬や注射薬があります。
低血糖の「はひふへほ」
糖尿病治療中の人が飲み薬やインスリンの量を間違えたり、アルコールを飲みすぎたり、いつもより激しい運動をしたりすると、薬が効きすぎて血糖が下がりすぎることがあります。これを低血糖といいます。
低血糖の症状には
「は」腹が減り
「ひ」冷や汗が出て
「ふ」ふるえがきて
「へ」へんにドキドキ
「ほ」放っておくと意識消失…
などがあります。
低血糖になった時には早めにブドウ糖や砂糖を10〜20g、または缶ジュース半分〜1本をとるようにしましょう。
自動車運転中であれば、安全な場所に車を駐車してブドウ糖をとるなどしましょう。
糖尿病治療薬の中には低血糖が起こりにくい薬もあれば、低血糖が起きた時には必ずブドウ糖をとらなければいけない薬などがあります。医師や薬剤師の説明をしっかり聞いて、事前に対処方法を教えてもらいましょう。
シックデイ
糖尿病治療中の人が糖尿病以外の病気(かぜをひいたり、おなかをこわしたり)にかかった時のことをシックデイ(体調が悪い日)といいます。
病気に対する抵抗力が低下し、免疫力が弱くなっている状態です。一般の人では問題にならないような病気が、重篤な状態を引き起こすことにつながります。インフルエンザや肺炎などの感染症、嘔吐下痢などの消化器症状も当てはまります。
シックデイの時は、食事が十分にとれないからといって血糖値が下がるわけではなく、病気のストレスによって普段より血糖値が高くなることもあります。
また、脱水が起こることで高血糖も起こりやすくなります。シックデイではこまめに水分をとり、食欲がなくても、おかゆやうどんなど、食べやすく消化の良い物を食べるようにしましょう。
シックデイでは高血糖のみが心配なのではなく、逆に低血糖を起こしてしまうこともあります。使用している糖尿病のお薬のタイプによっても対応が変わります。自分の判断で薬を中止せず、早めに病院に行くようにしましょう。あらかじめシックデイの対処方法(シックデイルール)を医師と相談しておけば、あわてないですむかもしれません。